
あの頃のF1──秋の鈴鹿に刻まれたドラマ
僕がF1を夢中で追いかけていた頃、鈴鹿は秋の風物詩だった。 セナが駆け抜け、マンセルが引退を迎え、プロストが戻ってきて、アレジやハッキネンが未来を予感させていた。 そして、突如として現れたシューマッハが、時代を塗り替えていった。
あの頃の鈴鹿は、シーズン終盤の決戦の舞台。 タイトルがかかった緊張感と、ドラマが生まれる予感が、テレビ越しにも伝わってきた。 中嶋悟、鈴木亜久里、片山右京──日本人ドライバーの挑戦も、僕の心を熱くした。
変わりゆくF1──長くなったシーズンと複雑なルール
それから時が流れ、F1は大きく変わった。 レギュレーションは複雑になり、シーズンは長くなり、ポイント制も様変わりした。 2025年にはファステストラップのボーナスポイントが廃止され、ルーキードライバーの起用枠が拡大されるなど、競技の在り方も見直されている。
今のドライバーで、僕が過去のレースを見たことがあるのは、アロンソとハミルトンくらい。 それだけ、世代が変わったということだ。
角田裕毅──日本人ドライバーが再びF1の舞台へ
そんな中で、角田裕毅という日本人ドライバーが、レギュラーとしてF1に参戦している。 2025年シーズンは、ついにレッドブル昇格という大きな転機を迎えた。 ただ、結果はまだ厳しい。日本GPでは予選15位から12位フィニッシュ。入賞には届かなかった。 でも、ファン投票では「ドライバー・オブ・ザ・デイ」に選ばれている。 それは、走りの姿勢や粘り強さが、ちゃんと届いている証だと思う。
苦戦の中に光──ベルギーGPで見せた進化
今のF1は、マシンの特性やチーム戦略が複雑で、ドライバーの力だけではどうにもならない場面も多い。 角田選手も、フェルスタッペン向けに開発されたマシンに苦戦していると言われている。 それでも、予選で自己ベストの7位を記録したベルギーGPのように、光る瞬間は確かにある。
新型フロアの投入というリスクを伴う決断に、チームが角田選手を信じて託した。 そして彼は、その期待に応えた。 「未知のクルマ」に即座に適応し、Q3進出を果たした走りは、彼の成長と可能性を示していた。
僕が応援したいもの──結果よりも姿勢
僕は、結果だけじゃなくて、その“踏ん張っている姿”を応援したい。 昔の鈴鹿で見たドラマのように、角田選手にも、いつか“語り継がれるレース”が訪れると信じている。 その日が来るまで、僕は彼の走りを見続けたい。
そして今週末、ハンガリーGPがやってくる。 オーバーテイクが難しいテクニカルなコース、予選が鍵を握る舞台。 角田選手がベルギーで見せた予選の速さを、今度こそ決勝の結果につなげてくれることを願っている。 夏休み前最後の一戦──ここで何かを掴んでほしい。 僕は、角田裕毅を応援する。